押さえておきたい!「リスク許容度」のポイント
月額投資可能額によっても、リスク許容度はまた大きく異なってきますが、 まずは簡単にポイントを説明しておきましょう。
●お金はいくらあるのか?
「純自己資金」とでも言いましょうか。現金としてどの程度保有しているのか。
●金融資産はいくらあるのか?
保険、証券など金融資産の総額を算出します。生命保険や株式、債券、自宅以外の不動産などで、 現時点で換金可能な金額がどの程度あるのかをはっきりさせます。
●金融機関からの融資可能額はどれくらい?
金融機関が開業医としての経営状況の安定や将来の見通しが良好であると判断すると、 融資可能額は大幅に広がります。逆に悪いと判断された場合には、当然金額は少なくなってしまいます。 設備投資の予定がある場合、借入が可能であれば、その分の現金を投資に使えます。 また不動産投資を検討する場合、自己資金以外の融資の枠がどれくらいあるかで、 レバレッジ効果(少ない資金で大きなお金を動かすこと)が使える投資のボリュームが大きく変わります。
●親からの援助資金などはあるのか?
事業承継した開業医の場合、親から贈与を受けるケースが多いものです。 そうした援助がある場合には、その金額も把握しておきましょう。 たとえば、祖父母から子や孫への教育資金の贈与額は、各1500万円までが非課税となります。(2019年3月31日まで) 教育資金をこれによって賄うことができれば、投資額が1500万円増えたことになります。 こうして算出された初期及び月額投資可能額から見て、たとえば毎月20万円の黒字額があるとすれば、 それがそのままその人の投資可能になります。 この投資可能額から判断して、おおよその「リスク許容度」が分かるというわけです。
リスク許容度の設定にはもうひとつ大きな意味があります。 それは、リターンとの関係です。金融商品というのは、大きなリターンをとろうと思えば、その分リスクが大きくなります。 言い換えれば、リスク許容度はどの程度のリターンを望むのかによっても、決まってくるといえます。 リスクとリターンの関係は基本的に正比例になります。
たとえば、元本に対しての10%程度のリターンが欲しい。 そんな希望がある場合は、逆に元本の10%が目減りするリスクもあるということになります。 10%のリスク許容度の場合は、1ヶ月50万円の投資をするとリスクの許容範囲はマイナス5万円となります。 この場合のリターンは、最大でも5万円。つまり、上下10%の変動があることを覚悟しなければいけないということです。
初期投資金額が1000万円だった場合も同じです。リスク許容度を20%と仮定すると、 リターンの可能性が最大で200万円程度ある一方で、200万円程度の損失をしてしまう可能性もあるということです。 つまり、リスク許容度とはリターンの裏返しです。
「1000万円あるから1200万円に増やしたい」ということは、 裏を返せば800万円になってしまうリスクを覚悟しなければいけないということです。 こうしたリスク許容度をきちんと理解し、自分がどの程度のリスクを負えるのか、 専門家の意見をなどを参考にしながら、自分自身で決めていきましょう。