①節税→可処分所得UP
②リタイア後の家賃収入(インカムゲイン)
③相続対策
④保障の見直し
この手法を採用した狙いは、主に以下の3点です。
①奥様への所得分散
②不動産事業で経費計上
③相続税評価額の圧縮
④働けなくなった場合の保障構築
T様の場合、お子様がいらっしゃらないため、相続人となるのは奥様1人。
T様とのお付き合いが始まった2015年時点では、T様はご自宅の他に2億円を超える現預金を保有し、その他にも合計1.2億円もの死亡保険に加入されていました。
ご自宅以外は全て現金資産に偏り、就業不能時の保障はほとんどない状態でした。
そのため、推定相続税額は1億円超。
T様が当初不動産投資を検討された最大の理由が、この相続税対策でした。
一回り若い奥様が、T様が亡くなった後も苦労することなく生きていけるよう、今のうちから対策を打っておきたいと考えられたのです。
不動産賃貸業にて5棟10室の事業規模に達すると、青色申告の対象となります。
青色申告特別控除(65万円)が適用され、専従者給与を支払うことも可能になります。
また、不動産賃貸業に要した費用の経費計上も認められています。
投資用不動産はローンを組んで購入することが一般的ですが、その借入金利子も経費となり、ローンに付帯する団体信用生命保険を活用して、就業不動時の保障代わりにすることもできます。
さらに、投資用のマンションを人に貸している場合、その相続税評価額は購入額の40~60%程度となるのが一般的です。
ただし、相続税は原則現金で納める必要があるため、いくら相続税評価額が低くなるからといって、資産のほとんどを不動産に変えてしまうのはお勧めできません。
相続税相当の金額は現預金もしくは、保険金といったすぐに使える形で残しておくようにしましょう。
勤務医の方の節税や相続対策に良く用いられる“株式会社”など一般法人の設立には、設立費用(登記費用や資本金等)の他に、税理士の顧問料(月2万円程度~)や、赤字でも発生する税金等のランニングコストもかかります。
T様の場合は、月々の帳簿付けは奥様が行い、税理士のサポートは年1回確定申告時のみ。
法人の決算は税理士資格のない個人が片手間で行えるほど容易ではないということも、T様が5棟10室選ばれた理由のひとつです。
さらに、赤字会社にしないためには、それを上回る利益を上げられる事業を営む必要があります。
医師の方には、医療機器のリース業や執筆・講演業などをされている方が多い印象です。
株式会社を活用した生前贈与のスキームは、相続人が多いほど早く進捗するため有利になります。
資産管理会社という形式も可能ですが、個人から法人に名義を移す際には登記費用が発生し、団体信用生命保険の保障効果もなくなってしまうため、T様は採用されませんでした。
T様の場合は、奥様が元々経理のお仕事をされていた方であったため、
奥様に不動産賃貸業の経理事務を任せることで、月8万円の専従者給与を支払われています。
ちょうど2018年分から配偶者控除の適用範囲から外れたこともありちょうど良いタイミングでした。
さらに、不動産賃貸業を行う上で必要となった費用は経費として認められ、給与所得と不動産所得の損益通算も可能となり、初年度は約200万円の世帯の可処分所得アップにつながりました。
相続税対策として、お持ちだった現預金の半分を投資用の区分不動産5部屋に換えたことで、約2000万円の相続税圧縮効果を得られ、
さらに、他の5部屋はあえて借り入れをして、就業不能時には団信が下りるようにされました。
そうすることで、死亡時に偏っていた保障内容を分散させることに成功。
加入中の生命保険を、原則、掛け捨てものは解約、解約返戻金が貯まっているものは払い済みにすることで、可処分所得はさらに年120万円改善したうえに、今後支払うべき保険料も当初の5%まで引き下がりました。
死亡時に支払われる保険金は約8000万円に減らしましたが、就業不能時には月70万円の家賃収入が入ってくる状態が出来上がりました。